コロナが始まってからよく聞くお話の一つが、
「今は旅行に行っても、人に自慢できないから、お土産が売れないのよ」
というお土産関係のお仕事の方のお話。
お土産業界も、なんだか変わり目にある気がして、2021年4月は、お土産について考えてみようと思いました。
早速、ネットで見つけたデータ4つをまとめてみました。
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外国人分析を行っているのが特徴。お土産産業の課題が見え隠れしており、ここの項目には可能性があると思った。官庁が行っているアンケートだからこそ目線が高い。お土産経済が実は地元を豊かにしていない?という点が面白く、持続可能な観光を考えるのであれば、この構造は変えていかないといけないと思う。
モノのお土産に触れているのが特徴的。逆に言えば、他では見られなかったのは、調査需要がないのだろうか。
そういえば、お菓子は新作がたくさんあるが、モノ系は少ない気がする。
消費者が惹かれるワードを調査しているがおもしろい。かくいう私も「限定」には弱い…
お土産を買わない理由の調査をしているのがおもしろい。お土産は、常態化された贈与行為というのか、人間関係を円滑にする役割を担っていることを感じた。
(背景の画像にまで凝って作ったのでぜひ、サクッと見てみてください。)
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上記のアンケート項目をまとめながら私は、ちょっとした不満を感じました。というのも、厚かましながら、アンケートの結果に驚きがあまりなかったんですよね…
観光に行く頻度とお土産の関係や、リーズナブルな観光地とお土産の関係など、環境とお土産の消費動向の関係性、いうなれば今世界の消費動向は変わってきているのに、お土産の世界はそれに連動しているのかどうかなど時代の動き・傾向を知りたいなと思いました。
そこで、私も少しだけ、10代から90代の35人にヒアリングをしてみました。(何百人何千人が答えているものではないため、調査と言うには恐れ多い。。。)今回は量を担保できない分、質を高めるため、明確な項目は作らず、「お土産についてどう思う?買う?」のような対話スタイルを直接会って聞く、または電話にて行いました。(協力してくださった方々、ありがとうございました。)
そこで興味深いと思ったことを紹介させてください。
まず、お土産は何のために買うか、という基本の問いです。ちなみに、これを見られたあなたは、何のためだと思いますか。
私たちが行ったヒアリングによると、多かった意見は、「思い出作り」でした。ある中年女性は、「リビングに飾ってあって、楽しかった旅行を思い出すのよ」と言っていました。(一方でお土産を買わない人の「置物は邪魔」という意見も)
次に多かったのが、「そういう習慣」ということです。ある男性は、「会社勤めしているときは『旅行に行くと言ったからには、買わなくては』という責任から買っていた。独立してからは、ギフト用のお土産は買ったことがない」と言っていました。コミュニティに属している場合あてはまるものなのかもしれません。
(ちなみに、「そういう習慣」の場合、大勢であれば箱菓子、そうでなければ、女性は「○○塩」や「〇〇ドレッシング」など調味料、男性は日本酒が多かった。)
(個人主義的な流れが加速している今、「そういう習慣」は確実に減っているような感覚はヒアリングの中にあった。)
また、行った証拠を持って帰りたい、漠然と何か買いたいなどがありました。
まとめると、お土産は何のめに買うのかという問いに対しては、メインなところは、自分用は、思い出作り(証拠作り?)で、他人用は、コミュニケーションの習慣、というのがヒアリングを通して感じたことであります。
(あえて、「感じた」に留めておくのは、人数の少なさからアンケート調査企業に引け目を感じているからである。こんな数で何も言うな!と言われやしないか…)
(そう言われたら、こう返そう、なぜこんな単純な「なぜ買うか」を聞かないんだ!と。あ、需要がないからか。え、そんな、、)
では、次に、お土産はどんな傾向にあるのか、モノ系お土産を中心にいろいろ聞いてみました。すると、とても面白い視点が出てきました。20代男女からこんな声がいくつも出てきたのです。
「写真を撮るのが趣味になってから、お土産買ってないな」
「うまく写真が撮れたときは、お土産買わないかな」
なんと。
あー、そういうことか。
何かを「残す」手段は、この時代においては、いわゆるお土産だけではない。
そう、写真だ。
(手軽で無料で、かさばらない、最高の「お土産」かもしれない…)
こんな意見もありました。
「友達に旅行行ってきたんだーって話す時、写真を見せるよね~」
あ、見せますね。
私ももれなく、数か月前までは女子大生で、友達と旅行の話をするときは写真を見せていました。いや、友達だけじゃない。親ともだ。思い出せば、おじいちゃんおばあちゃんと話す時も写真を見せていました。
誰か、アンケート会社さん、調べてみていただけないですか。
もしかしたら、お土産の競合って、写真かもしれません。。
(そうなったら、事業者さんはどうしたらいいのだろう。インスタ映えスポットを作るほど、モノが売れなくなる。。。博物館や美術館のような、撮影ができないところを作らねば。。。あれ、博物館や美術館で撮影スポットを作らないのは、この傾向を知っていたのか・・・?)
また、こんな意見もありました。
「お土産は買わないかな。モノを家にあまり置きたくないんだよ」
「有形にはお金を使わないかな、無形の体験とかに使いたい」
(→これは真逆な人、無形より有形に使いたいという人も同数くらいいました)
世間では「モノが売れない時代」と言われていますが、その影は観光地にも忍び寄っているのではと感じました。だからこそなのか、モノ系お土産に関して、デザイン性や機能性を求める人が多いような気もしました。ただご当地シールがついているだけでなく、質を求められてきているような気がします。
また一方で、モノ系お土産に関しては、生産地が違う地域・国でも構わないという人が多かったです。例えば、イタリアの国旗がついたお土産がmade in ChinaでもOKのような感じ。別にそこまでは、という方大半でした。
まあ、そうか。
ということで、私がアンケート調査会社に、統計をとって確認してみてほしいことは
①お土産は、コミュニケーション手段と思い出作りのために買う
②お土産購入量(購入額)と写真撮影数(?)には関係がある
③デザインや機能性を求める人が増加傾向にある
です。
特に、写真とお土産の関係が気になるのだけれど。ただの私の妄想か、何かあるのか。もしあるとするならば、お土産と写真スポットの適切な関係を考えることは最優先事項になるでしょう。
これを読んでくださった皆さんは、写真とお土産の関係、どう思いますか。
最後に、私が粋だなと思ったお土産活用法・お土産の分析・お土産に対する意見をここで紹介して終了にします。
【お土産活用法MVP】
絵葉書を買って、額装するよ。季節によってお部屋のイメージを変えられるアートができるよ。普通の絵よりとっても安いしね。
(発想がおしゃれ過ぎます)
【お土産の分析MVP】
お土産は、その地の名産物のミニチュアなんじゃないかな。畳は大きいから持って帰れないけど、畳のキーホルダーは持って帰れる、みたいな。
(これ、めちゃくちゃ応用効きますよね、すごすぎる発見)
【お土産に対する意見MVP】
残るものを買うよ。消費行為が好きでないので、アーレントの言う「活動」に近いことをしたい。あとレビストロースの言う社会関係を円滑にするための交換は冷たいと思うんだ。感謝されるためとか、自分が気持ちよくなるとかの一切の感情を放棄して、ただただ与えること、純粋贈与が自分にできるのかを問いながら買い物をしているよ。
(まじか。)